プレミアムな美酒に酔いしれた…
ヴィノテラスワインスクール主催のランチ会に参加しました。
今後も月に一度のペースで開催されるとのことなので、ワイン会へ参加するか迷っている方の参考になれば幸いです。
また、当日参加した方の復習になりましたら嬉しいです。
一言でいうと「お値段以上の価値があるペアリングランチ」でした!
お一人参加の方も多いので、一人でも気兼ねなく楽しめました。
ペアリングランチ会場
都営三田線「白金台駅」から徒歩4分という好立地にある一軒家レストラン。
白金プラチナ通りから一本中に入った通りにある12年連続ミシュラン☆獲得のお店です。
店名は、フランス語で「錬金術師」を意味するとのこと。
講師の井黒卓氏の10年来のソムリエ仲間でもあるマダム山本氏と、オーナーシェフのムッシュ山本氏の革新的なフレンチに合わせて井黒氏が得意とするダブルペアリングを楽しむというペアリングランチ会でした。
フランスワインと世界各国のワイン2種を一皿毎に合わせ、何故そのワインを選んだのか?を井黒氏の解説を聞きながら楽しみました。
開催日時:2024年3月11日(月)12:00~14:00
開催場所:Alchimiste(アルシミスト)
東京都港区白金台5-17-10
料金 :58,300円(税込)着席コース ワインペアリング(約10種)
定員 :限定26名
講師 :井黒卓(いぐろたく)氏
主催者 :ヴィノテラスワインスクール
お料理とペアリングワイン一覧
1つのお皿に2種類のワインを合わせるダブルペアリング!
アペリティフ | 1 | Laurent-Perrier/Grand Siècle Magnum |
アミューズ・ブーシュ | 2 | 2015 Grace/Misawa Vineyard Blanc de Blancs |
アルシミスト農園より菊芋 ※Alchimisteのスペシャリテ | 3 | 2014 Pierre Lamotte/Château-Chalon |
4 | 2022 Egon Müller/Scharzhofberger | |
太刀魚×ブラッドオレンジ | 5 | 2019 Ch. Chevel Blanc/Le Petit Cheval |
6 | 2020 Robert Mondavi/To Kalon Vineyards The Reserve | |
ブーダン・ノワール×レンズ豆 | 7 | 2018 Alexandre Bain/Mademoiselle M |
8 | 2019 Armand Rousseau/Gevrey-Chambertin | |
地頭鶏×芹 | 9 | 2013 Château Cheval Blanc |
10 | 2009 Grace/Cuvée Misawa Ridge System | |
とちおとめ×春菊 | 11 | 2015 Sauternes/Ch. Lafaurie Peyraguey |
ボルディエバターのフィナンシェ | 12 | Jaques Selosse/Initial |
「アペリティフ」にChampagne
アペリティフにはシャンパーニュ「Laurent-Perrier/Grand Siècle Magnum」。
「Grand Siècle」は1959年以来造られているブランドで、ボトルの首のあたりに書いてある「N゜23」は23回目のブレンドを意味しています。
「プレステージシャンパーニュは単一のヴィンテージであるべき」と言われますが、複数の良い年をブレンドしたほうが完成品に近づけるという答えにたどり着き誕生したシャンパーニュ。
複数のブドウ品種、複数のヴィンテージ、複数のクリュをブレンドするというシャンパーニュ造りの原点です。
ワイン名の「Siècle」とはサークルからきていて、偉大な丸、球体を意味しています。
3つの最高の年のワインが、お互いの良い所、悪い所を補いながら造られた、23回目のブレンドとのことです。
このタイミングでもう1本、ブラインドでスパークリングワインが登場。
「Laurent-Perrier/Grand Siècle Magnum」はマルチヴィンテージで、品種もブレンドだったが、今回は「シングルヴィンテージで単一品種、さて何でしょう?」と。
結論、上記の「2015 Grace/Misawa Vineyard Blanc de Blancs」だった訳ですが、多くの方がシャンパーニュのBlanc de Blancsと予想していたので、日本のワインだと分かり驚いていました。
※品種はシャルドネ
井黒氏によると、一番難しいブラインドがスパークリングワインとのこと。
ここで井黒氏が、もしこのワインをブラインドテイスティングしたらどのように推測していくかを実演してくださいました。
「まずは色を見て年代を確認、黄緑色は見えるものの比較的落ち着いた色合いである、次に香りと味わいで確認する、蜜蝋とか蜜っぽい甘い香りがしたら熟成しているが、今回のワインはフレッシュである、レモンとか柑橘系が中心、オートリシス(自己消化)という酵母由来のイースト香がしっかりあり、食パンを焼いたようなトースティー、ジンジャーブレッドではないから熟成は進んでいない。」
トップソムリエのテイスティングコメントを聞けるなんて貴重な機会でした。
ちなみに…
最近、ヴィンテージシャンパーニュの2015年が出てきた頃だそう。
酵母(滓)のイーストの香りが12カ月でワインにつき、さらに滓の旨み(アミノ酸)が液中に戻るまで最大7年かかる。その為、プレステージシャンパーニュの熟成期間は7年以上になることが多いそうです。
「アミューズ・ブーシュ」と日本の泡
引き続き、日本の泡を楽しみながら、アミューズ・ブーシュをいただきました。
「2015 Grace/Misawa Vineyard Blanc de Blancs」の生産本数は少なく、この年は2,509本。
今回のランチ会のために特別に送ってもらったものだそう。
食材に使われているふきのとうのほろ苦さに、繊細でピュアなスパークリングの味わいが心地よく調和しました。
「アルシミストより菊芋」にVin JauneとRiesling
茨城県の「アルシミスト農園」の畑からスタッフの皆さんが収穫してきた菊芋だそう。
菊芋は種芋を植えるとどんどん増えるのだとマダムがおっしゃっていました。
菊芋とウニのお料理がウニの形の器に。
温度はあえて、香りが引き立つぬるい温度帯とのこと。フランスではこの温度を「ティエド」というそう。
小さなスプーンで下からすくい上げていただきました。
タルトは酢漬けにした菊芋の上に、日本独特のクルミをクリーム状にしたものが載せられていました。
コンソメは菊芋の皮とお水のみから作られています。黒い液体は、旨味を足すために藁を燃やしてそこからとったオイルだそう。
まさか、菊芋の皮がコンソメに昇華するとは驚きでした。
優しいホッとする味。
こちらのお料理へのダブルペアリング、1つ目は「2014 Pierre Lamotte/Château-Chalon」。
フランス、ジュラ地方のVin Jaune(黄ワイン)。
サヴァニャンという白ブドウ品種から造られており、フロール(産膜酵母)という酵母の層のもと熟成されることで現れるナッツやメープルシロップのような独特な香り、スパイシーでしっかりとした味わいが特徴。
くるみを使ったタルトとナッティーなワインの香りが同調してよく合いました。
ちなみに…フロールは自然にできるものなので、キープするのは難しく、フロールがなくなってしまったワインは酸化して失敗作になってしまうのだそう。
このような失敗作のワインはビネガーになるのです。ジュラ地方はビネガーで有名な産地なんだとか。
ただ現在はフロールができるメカニズムが分かっているので、失敗はなくなってきているようです。
もう1つのワインはVin Jauneとは対極にあるような、フルーティーでフローラル、華やかなドイツのリースリング「2022 Egon Müller/Scharzhofberger」。
「Scharzhofberger」は最高の畑と言われています。
造り手はモーゼルの「エゴン・ミュラー」、ドイツワインの頂点に君臨する生産者です!!
リースリングは酸味が強い品種で、酸味とバランスを取るために伝統的に発酵を途中で止めることで甘みを残します。
こちらのワインのアルコール度数は8.5%。
1%のアルコールを造るのに糖度が17-18g必要であり、完全発酵すれば12%くらいのワインになるそうです。
井黒氏は大人のレモネードと表現されていました。
ワインの優しい甘さがクリーミーな菊芋とウニのお料理とよく合いました。
「太刀魚×ブラッドオレンジ」に産地違いのSauvignon
ワインはオールドワールド(フランス)とニューワールド(カリフォルニア)の比較ブラインドテイスティング。
旧世界はフランス、ボルドーの「2019 Ch. Chevel Blanc/Le Petit Cheval」
言わずと知れた赤ワインが有名なCh. Chevel Blancが造る白ワイン。
新世界はカリフォルニア、ナパの「2020 Robert Mondavi/To Kalon Vineyards The Reserve」
「To Kalon」はナパ・ヴァレーで最も素晴らしい畑として知られているのだそう。
特にカベルネが有名で、ブドウが各ワイナリーに運ばれる際は警察の護衛が付き、まるで宝石の輸送のような状態になるのだとか!
ブラッドオレンジのソースと、より香りに熟度の高さを感じる「2020 Robert Mondavi/To Kalon Vineyards The Reserve」がとてもよく合いました。
「ブーダン・ノワール×レンズ豆」に白ワインと赤ワイン
写真では伝わりづらいのですが、こちらのブーダン・ノワール、スフレのようなムースのようなフルッフルの食感で、とても上品な味わい。
今までいただいたブーダン・ノワールの中で一番美味しかったです。
「2018 Alexandre Bain/Mademoiselle M」
ひとつ前のダブルペアリングと同じSauvignonのワインですが、こちらは亜硫酸など酸化防止剤を加えずに造られたナチュラルワイン。
こちらのワインは焼きリンゴのような香りがあります。
クラシックなブーダン・ノワールはリンゴのペーストに合わせたりすることから、そのイメージからこちらのワインを選んだとのこと。
このような補完するペアリング、ストーリーも相まって個人的に好きな提案でした。
「2019 Armand Rousseau/Gevrey-Chambertin」
血の味がするワインというと連想するワインは1つ「Chambertin」
※ブーダン・ノワールは豚の血や内臓から作られる
ナポレオン・ボナパルトはブルゴーニュの有名な特級畑「Chambertin」のワインを一口飲んで、「血の味がする」と言ったそう。
生産者はジュヴレ・シャンベルタンのトップ・ドメーヌであるArmand Rousseau。
今回はヴィラージュ(村名)ですが、12万円以上します…!
ひとこと言わせてください。
このランチ会すご過ぎですーーーーー!
もう今回の参加者はきっと全員リピーターになるでしょ。
素敵なレストランで全日本最優秀ソムリエセレクトのワインをいただける&一流のサービスを受けられる、これは奇跡です。
「地頭鶏×芹」と産地違いのボルドーブレンド
メインの地頭鶏は3つの部位を組み合わせて一皿に仕立ててありました。
ふっくらとした肉質に、ソースを絡めながらいただくと、エレガントなワインを欲します。
ワインはCabernet Francに注目したペアリングでした。
Cabernet FrancはCabernet Sauvignonより、ハーブの香りが強くなるそう。
お肉を焼く際に香り付けするタイムやローズマリーと同調する、旨味があるハーブ香(セイボリーハーブと表現するらしい)があるのがCabernet Francの特徴なんだとか。
味わいはCabernet Sauvignonより、優しくしなやかな、口に入れたときの緻密できめ細かいタンニンが特徴。
育てるのが難しい品種で、冷涼な産地で育てるとピーマンのような香りが出てくるが、よく熟せばカシスやハーブ、土など複雑な香りが現れる。
井黒氏は、仕事柄好きな品種をよく聞かれるそうで「白ならRiesling、赤ならCabernet Franc」と答えるそう。
Cabernet Francはワインメーカーも大好きな品種、だけどマーケットとしては全然売れない品種なんですよね~と仰っていました。
ワインはサン・テミリオンのトップシャトーが登場。
「2013 Château Cheval Blanc」
現行のヴィンテージで、14万円以上します…!
品種はCabernet FrancとMerlotが50%ずつ。
日本のトップ生産者が造る「2009 Grace/Cuvée Misawa Ridge System」
こちらはCabernet Franc100%。
「Ridge System」とつくのは良い年にしか造らないワインで、近年だと2009年、2012年、2017年に造られたレアな、今はお金を出しても買えないワインだそう。
※Ridge System(高畝式)とはブドウの根が必要以上に水を吸い上げないよう、木の根元に盛り土を施す栽培法
良い年にしか造らないのが「キュヴェ三澤」であり、さらにバレルセレクションでもあるのが「Ridge System」なんだとか。
今回のランチ会のために、わざわざラベルを貼って、送ってもらったとのこと。
甲乙つけがたい、両方素晴らしいワインですが、個人的に好きだと思ったのは日本ワイン「2009 Grace/Cuvée Misawa Ridge System」でした。
Cabernet Francのエレガンスが感じられるワインでした。
「2013 Château Cheval Blanc」は11年の時を経て、複雑な香りを纏い、味わいは円熟味を帯びていました。
色調も香りもヴィンテージが古い「2009 Grace/Cuvée Misawa Ridge System」の方が、若さを感じます。
「2013 Château Cheval Blanc」はヴィンテージでいうと難しい年、一方「2009 Grace/Cuvée Misawa Ridge System」は良い年なのだそう。
今回のワインを比較すると、キュヴェ三澤の方がエイジングポテンシャルがあるように思いますが、Château Cheval Blancのグレート・ヴィンテージである2009年と比べるとまた面白そうです。
「とちおとめ×春菊」とSauterunes
デザートは春がギュッと集まったかのような可憐な一皿。
グリーンは春菊のアイスクリーム。
甘さとほろ苦さが心地よく、しっかりと春菊の存在を感じられます。なんともユニークなフレーヴァ―!
ワインは「2015 Sauternes/Ch. Lafaurie Peyraguey」。
2014年からクリスタルメーカー「Lalique」が所有するようになり品質が向上したワイナリーなのだとか。クリスタル製のボトルには女神が描かれています。
春菊のほろ苦さを含むデザートに甘美なSauternesがよく合いました。
「ボルディエバターのフィナンシェ」に〆シャン♡
お茶菓子は金粉を纏ったフィナンシェ。
そういえば店名は「錬金術師」という意味、物語の余韻に浸りながら最後のページをめくる。
そんな気分になりました。
さてお茶菓子のフィナンシェに合わせてペアリングされたのはシャンパーニュ。
ここで井黒氏から私たち参加者へクイズが問いかけられました。
「このシャンパーニュの年代はいつ頃でしょう?」と。
1950年代からはじまり2010年代までの幅の中、各々が挙手しました。
正解は「Jaques Selosse/Initial」
ジャックセロスのスタンダード、ノン・ヴィンテージなので、ヴィンテージではなかったのです。
しかし年代でいうと、ベースワインは2010年代のブドウを使用しているということで、「2010年代」に挙手した2名が正解となりました。
多くの方が、このシャンパーニュから熟成感を感じていました。
ランチワイン会を終えて
ジャック・セロスのヴィンテージ当てクイズのコーナーで、正解して、ヴィノテラスさんから「シャンパーニュ」をいただきました!
すごくうれしくて、家族に自慢しました。本当ツイてる。
お申し込み時には、ワインの銘柄は発表されていなかったのですが、参加してびっくり。
こんなにプレミアムなワインばかり飲めるなんて!
ブラインドテイスティングで先入観なく飲めるように、という井黒氏の思いだったのですね。
参加者はご夫婦や友人とご一緒の方もいらっしゃいましたが、半分はお一人で参加だったように思います。
私自身も一人で参加ということで、ちょっと気が引けていたのですが、心配は杞憂に終わりました。
ワイン好きという共通点があり、初対面の方とも話が弾みました。
ランチ会は井黒氏の解説を聞きながら進むので、講座のような雰囲気もあります。
一人でも寂しいことはなく、心地よく過ごせました。
今後のヴィノテラス主催リアルイベント
ペアリングワイン会
11/30(土)|四季を楽しむペアリングディナー@D’ORO HATSUDAI\おすすめ/井黒卓講師のオンライン講座
テイスティング表現 実践講座 2024 講師 井黒 卓
井黒さんからテイスティングを学べる講座!
単発でのお申し込みも可能です。
11/17(日)|テイスティング表現 実践講座 第4回「井黒卓講師とブラインドティスティング」 12/15(日)|テイスティング表現 実践講座 第5回「井黒卓講師とブラインドティスティング」
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