【WSET Level3】効率の良い勉強方法、合格への最短距離

WSET
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こんな方におすすめの記事

悩む人
悩む人

WSET Level3に挑戦したいけれど、勉強の仕方が分からない
過去問がなく、市販の参考書も見つけられないのでどの程度の知識が必要か分からず不安でいっぱい
周りに質問・相談できる人もいない

WSETは独学での受験はできません
認定校での資格取得コースを受講しなければ、受験資格は得られません。
資格取得コースには教科書や受験料も含まれています。
WSET®資格取得コース

公式の教科書など

第1回目の授業で配布されるものは下記の4つ。

もしもLevel2を飛ばして、Level3から受ける方はLevel2のワークブックと教科書を購入(ちょっと高いのですが…)することをおすすめします。
認定校で、購入できますのでワインスクールに問い合わせてみましょう。

Level2のワークブックや教科書はブドウ品種ごとに詳しく書かれていて、とても役立ちました。
Level3に合格するためには熟読必須です。

Level2のワークブックと教科書
合格者
合格者

私自身、試行錯誤してやっとたどり着いた、役に立った勉強法をご紹介します。
ちなみに私は日本語受験で、「Pass with distinction(優)」という80%以上の正解率で合格しました!

WSETには下記のようなGradeがあり、最低合格ラインは正解率55%なので決して難しいものではありません。
「ギリギリでも合格できればいい」のか「Pass with distinctionで合格したい」のか、目標により勉強にかける時間と情熱も変わってきます。

80%以上の正解率 Pass with distinction合格(優)
65%から79%の正解率Pass with merit合格(良)
55%から64%の正解率Pass合格(可)
45%から54%の正解率Fail不合格(不可)
44%以下の正解率Fail Unclassified不合格(分類外)
WSETのGrade

活用したいサービス

ThirtyFiftyというイギリスのウェブサイト
WSETに合格するために、役立つ教材を多く見つけました。
ワインテイスティングコース&イベント|3050 (thirtyfifty.co.uk)
ちなみに、ThirtyFiftyは世界のワイン用ブドウの大部分が栽培されている「北緯・南緯ともに30度から50度の間」にちなんで名付けられているそう。

合格者
合格者

翻訳機能を使えば、英語が苦手な方も問題なく使えます。
ちょっと訳がおかしいこともありますが、理解できないものはありませんでした。

有料ですが、ぜひ使用してほしいのが下記の3つ。
私は、これを使い倒しました

1.フラッシュカード(Flash Cards
2.試験の練習問題(Exam Practice Questions
3.模擬試験(Mock Exams

使い方をご紹介していきます。

フラッシュカード(Flash Cards)

こちらは、質問&解答が2,400問含まれています。

価格は£25、日本円で4,000円ほどで、購入後1年間利用可能です。

購入後、パソコンやスマートフォンで、ThirtyFiftyのウェブサイトを開き、メールアドレスとパスワードを入力すれば使用できます。

例えばこんな感じです。
教科書の目次にある「7.ワイン醸造と熟成で共通する要素」からの問題を原語と翻訳した日本語で見てみましょう。

原語
日本語に翻訳してみた

ちょっと違和感がある翻訳ではありますが、意味は理解できますので勉強していて全く問題はなかったです。

このフラッシュカード(Flash Cards)は予習と復習に使えます。

授業の前にこのフラッシュカードに出てくる問題&解答について書かれた、教科書の文章にあらかじめマーカーを引いておくと、重要な場所が分かり授業が理解しやすかったです。

こんなイメージ
合格者
合格者

先生がやたらと「Specification 規定」が大事と、授業中に何度も強調していました。
何をすればいいかわからなくなったら、とにかく「Specification 規定」に戻って、書いてある内容を一つ一つクリアにしていってくださいと。
「Specification 規定」はこちらからも見れます→Layout 1 (wsetglobal.com)

このフラッシュカードは、「Specification 規定」に出題されるよ、と書いてある内容をすべて網羅しています。
フラッシュカードを使えばもれなく効率よく重要ポイントを確認できます。

私は試験の直前にやっと、「Specification 規定」の重要さに気が付きました、、、
あなたには早く気が付いて欲しいです。

結局、最後まで一番使ったのはこのフラッシュカードでした。
最終仕上げとして、前日に苦手なところをこれで復習しました。
ただ教科書を読むよりも、アウトプットをしながら教科書を読み込めるのでとてもおすすめです。

試験の練習問題(Exam Practice Questions)

こちらは、4択問題と記述問題(セオリー)が約400問含まれます。

価格は£20、日本円で3,200円ほどで、購入後1年間利用可能です。

例えばこんな感じ。

4択問題
記述問題(セオリー)
合格者
合格者

こちらは力試しをしたい時など、復習におすすめです。
ここに出てくる問題はすべて完璧にできるようにしておきましょう。
教科書を横に置いて、分からないときはすぐに調べるようにしておくといいです。

記述問題に対して、どの程度の答えを書けばいいかがここで分かりました
また「1マーク(=これを書いたら1点)」などと書いてあるので、点数をもらえるコツも掴みました。
自分の言葉にして丸暗記しておくと、さまざまな問題で応用しやすかったです。

模擬試験(Mock Exams)

こちらは、4択問題と記述問題(セオリー)が550問含まれます。

価格は£25、日本円で4,000円ほどで、購入後1年間利用可能です。

合格者
合格者

試験の1か月前に購入して、ここに出てくる問題はすべて完璧に解けるようにしました

内容はまさに模擬試験!
4択問題が3回分(本番と同じ50問×3)
記述問題は4回分(本番と同じ大問4つ)

特に良かったのが、記述問題の配点が分かること。
やっていく内に、どの程度書くべきか分かってきました。
また出題の傾向もここでほとんど掴むことができたおかげで、本番も「見たことあるな」という問題がほとんどでした。

1.フラッシュカード(Flash Cards
2.試験の練習問題(Exam Practice Questions
3.模擬試験(Mock Exams

合格者
合格者

全て購入すると11,000円ほど…
Pass with distinction(優)で合格したい方は迷わず購入するべきだと思います!
無料のサンプル問題がありますので、気になった方はぜひご確認ください。

記述式問題(セオリー)対策で優先して勉強するところ

勉強する時に強弱はとても大事です。
さらっとやっておけばいいところと、自分の言葉で説明できるようにしっかり理解しておかなければならないところがあります。

勉強するときに下記に挙げるところは特にしっかり覚えましょう。
また本番前の復習では優先して確認していきましょう。

合格者
合格者

下記に挙げる項目については、自分の言葉で説明ができるように一つ一つクリアにしていきましょう。

特に、ワインの保管とサービス、スパークリングワイン、酒精強化ワインは完璧にしておきたい。
ページ数が少ないですが、何とここから30点分出題されるのです。

ワインの保管とサービス

・ワインの保管方法
・ワインのサービス温度
・非発泡性ワインの栓の抜き方
・発泡性ワインの栓の抜き方
・デカンティングの仕方(なぜするのか理由も)
・ワインの保存に使われる方法
・ワインに合うグラスの大きさ
・アイスバケツの使い方

ブドウ樹、栽培環境、畑の管理

・高接ぎの方法と特徴
・熱に影響を及ぼす要因(緯度、標高、海流、霧、土壌、方角、大陸度と日較差)
・春の霜対策4つ
・灌漑の種類3つ
・気候の分類
・垣根仕立て(VSP)の特徴
・機械収穫と手摘み収穫のメリットとデメリット

ワインの醸造

・白ワインの醸造オプション(大量生産、高品質(プレミアム)それぞれ)
 アロマティックかニュートラルで分けて整理しておく
・赤ワインの醸造オプション(大量生産、高品質(プレミアム)それぞれ)
 高品質(プレミアム)は品種ごとにまとめておく
・大量生産・低価格ワインに向く品種
 白ブドウ:シャルドネ、ピノ・グリージョ、ソーヴィニヨン・ブラン
 黒ブドウ:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラー(シラーズ)、グルナッシュ(ガルナッチャ)
・甘口ワインの醸造(白)
・房ごとに発酵させる方法(赤)
・ロゼワインの醸造

旧世界重要産地(更新中)

【重要!常に意識すること】
スタイル、品質、価格に影響を及ぼすブドウ畑における自然要因
スタイル、品質、価格に影響を及ぼすブドウ畑における人的要因
スタイル、品質、価格に影響を及ぼすワイナリーにおける人的要因

新世界重要産地(更新中)

【重要!常に意識すること】
スタイル、品質、価格に影響を及ぼすブドウ畑における自然要因
スタイル、品質、価格に影響を及ぼすブドウ畑における人的要因
スタイル、品質、価格に影響を及ぼすワイナリーにおける人的要因

スパークリングワイン

・発泡性ワインに使用するブドウに求める3つの条件(糖度が低い、酸度が高い、十分に熟している→なぜこの条件が必要?)
・伝統的製法の生産方法、流れを理解しておく
・ブレンドの効果
・酵母の自己分解とは?その効果は(どのような香りが現れる)?
・発泡性ワインの甘味を表わすEUのラベル表示用語(Brut Nature/Brut/Demi-Sec)の残留糖度レベル
・伝統的方式・トランスファー方式・タンク方式・アスティ方式の違い、特にアスティ方式
・【シャンパーニュ】気候、春の遅霜の対応策は?土壌の特徴は?
・【クレマン】3つのクレマン、それぞれの品種
・【ソミュールとヴーヴレ】
・【カバ】価格帯が幅広い
・【アスティ】上質なのはミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランで造られる
・【プロセッコ】一般的なスタイルは?残留糖度は?
・【ゼクㇳ】ゼクトとドイッチャー・ゼクトの違い
・新世界のスパークリングワインを造る産地に共通するのは、糖度が低く酸が高いブドウを得られるエリアであることと、国際品種(ピノ・ノワール、シャルドネ)での生産が王道のスタイル
【オーストラリア】【ニュージーランド】【南アフリカ】【アメリカ合衆国】

酒精強化ワイン

・【シェリー】アルバリサ土壌の特徴
・【シェリー】3つのブドウ品種の特徴
・【シェリー】醸造工程(酒精強化のタイミング、生物学的熟成、酸化熟成)
・【シェリー】各スタイル特徴(フィノ、アモンティリャード、オロロソ、ペドロ・ヒメネス、モスカテル
・【ポート】3つの栽培地域の特徴
・【ポート】醸造工程(酒精強化のタイミング、抽出方法、熟成)
・【ポート】タイプ(低価格のルビーとトウニー、リゼルヴァ、LBV(濾過処理の有無による違い)、年数表記トーニー、ヴィンテージ)
・【酒精強化したマスカット種のワイン】熟成させない、酸化熟成、2つのタイプの製造工程

合格者
合格者

ワインの保管・サービス、スパークリングワイン、酒精強化ワインは範囲が狭いのに配点が高いので満点を取りたいところ。私はフラッシュカード(Flash Cards)を活用することで効率よく勉強できました。

ブドウ樹、栽培環境、畑の管理、ワインの醸造はすべての産地の勉強につながってくるので、授業がスタートして間もないころに学びますが、しっかり頭に入れておきましょう。

その他

・ブドウ品種の特徴、産地ごとのスタイル
 Level3の教科書のワインの醸造に出てくる品種、Level2の教科書に掲載されている品種、優先順位としてはこの順番にチェックしておく

テイスティング対策はこれをやる

試験内容を知る
合格者
合格者

テイスティングの試験は30分間で2種類(白・赤)についてコメントを書くというものです。
甘口ワインも出題の可能性があります。
授業で出てきますが、スパークリングワインと酒精強化ワインは出題されません。

ソムリエ・ワインエキスパート試験と違って、選択式ではなく、すべて記述式です。
WSETⓇ独自のテイスティングメソッド「系統的テイスティング・アプローチ(SAT)」を使用してワインの特徴を描写します。

これがSAT(表)
これがSAT(裏)

本番では下記のような用紙が配られ、目の前のワインについてコメントを書くというものです。

白ワイン用(筆者作成)
赤ワイン用(筆者作成)

解答のイメージは下記のような感じです。
品種と生産地を特定する必要はありません。
想定したのは樽香ありのシャルドネ、ちょっとお高いワイン。

解答のイメージ(白ワイン)
まずはSATを覚える
合格者
合格者

私は第5回目の授業のときにはSATをすべて暗記していて、授業中のテイスティングではすらすら書けるようにしました。

SAT通りの用語を使わないと得点にならないので、確実に覚える必要があります。

例えば色の濃さは3段階(淡いー中程度ー濃い)ですが、最初は間違えて「やや淡い」と書いてしまったり、酸味は低いや高いという表現なのに弱いや強いと書いてしまったり、注意が必要です。

毎授業後にしたこと

毎授業ごとに、先生のコメントを下記のようにEXCELにまとめていました。
これはぜひやって欲しいです。

こんなイメージ

上記のようにまとめておくと、「ドライテイスティング」がしやすいです。

「ドライテイスティング」はワインがあるつもりでコメントをすることです。
例えば「ピノ・グリージョ、イタリア ヴェネト、〇年前のヴィンテージ、1,100円、アルコール12%」のワインが出たらどんなコメントをするか言ってみるのです。

このようなトレーニングをしておくと、〇〇な時はこのようなコメントになる、というようにいくつかのパターンができて、どんなワインが来てもスムーズに言葉が出てくるようになります。

パターンというのはざっくり分けて下記の5つ。
・シンプルな白ワイン
・高品質(プレミアム)白ワイン
・甘口白ワイン(貴腐など)
・シンプルな赤ワイン
・高品質(プレミアム)な赤ワイン

合格者
合格者

試験1か月前からは一日4回はドライテイスティングをしていました。
歯を磨きながら、お風呂に入っているとき、洗い物をしているときなど30秒あればできます。

シンプルワインを特定できるようになる

ソムリエ・ワインエキスパートにはなかった基準なので、多くの方が「シンプルなワインが分からない」と言っていました。

WSETでは供出されたワインが「シンプルなワイン」である場合、それを特定する必要があります。
シンプルなワインが授業で出た時には、どのようなワインかしっかり見ておきましょう
講師の先生との基準を合わせておくことが重要です。

例えば白ワインであれば、柑橘類と緑色系果実の香りしか感じられないなど香りの要素が少ない時に「シンプルなワイン」となります。

シンプルなワインの基本特徴
・香りの要素が少ない
・樽香なし
・アルコール度数が低い
・価格は1,000円前後
・赤ワインであれば濃淡は淡くなりやすい(収量が高かったり、色素やタンニンの抽出を控える傾向にあるからタンニンも少ない)

香り・風味のコメントイメージ
合格者
合格者

シンプルなワインを購入して、自宅でもトレーニングをしました。
このときに注意なのが、「きっとこのワインはシンプルなワインだろう」と自分で選んで購入することです。
授業で使用された「シンプルなワイン」を購入するのが安心です。
私が購入したのは授業でも「シンプルなワイン」として使われた下記の2種類のワイン。
「シンプルなワイン」をいろいろ飲む必要はないと思いました。

試験の心得

問題をよく読み、何を問われているのか理解しましょう。

当たり前のことを当たり前に書きましょう。
これ、とても重要です。
例えば、「北ローヌのヴィオニエのスタイルについて述べてください」という問題があったら、白ワインだということは当たり前すぎて書かない人が多いです。

でもまず、「白ワインである」ということを書いておけば1点入ってくる可能性があるのです。
このような理由から、当たり前のことを当たり前に書きましょう。

また、セオリー(記述式)の試験はタイムマネジメントが重要です。
試験がスタートしたら一通り問題を確認し、時間配分を決めておきましょう。
書きやすい問題からどんどん書き始めてください。

スムーズに書いていけるように、日頃から「書く瞬発力」を鍛えておきましょう。
これはいかに多くアウトプットをするかにより鍛えられます

この記事の中で紹介したThetyFiftyの想定問題集を活用することで瞬発力が鍛えられます。

スカラシップを狙ってみる

WSETでは、WSET認定講座受講後に試験を受験した全ての受験生の中から、成績優秀者には海外ワイン研修やDiplma受講料免除などが贈られるスカラシップ制度があります。
※スカラシップとは「奨学金」という意味

日本のこれまでのWSETスカラシップ受賞者は8名だそうです(2022年現在、キャプランHPより)。
もちろん、日本語受験でも受賞することができます。

ピノコ先生
ピノコ先生

優秀な人は英語受験をする方が多いですが、
スカラシップを狙ってあえて日本語受験をするのもありかも。

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