
- ワインのテイスティングコメントでよく耳にする「ミッドパレット」。ソムリエ協会のセミナーでもよく講師の方が使っています。でも、意味があいまいで使い方に自信がない…
- 本記事では、ミッドパレットの正しい意味から、実際のテイスティングでの使い方、プロの表現例までを解説します。
ミッドパレットとは?(定義)
ミッドパレット(mid-palate)とは、ワインの味わいの“中盤”を指すテイスティング用語です。
ワインの味わいは大きく3つの段階に分けられます。
- アタック(attack):口に含んだ瞬間の第一印象
- ミッドパレット(mid-palate):味わいの中心となる中盤部分
- フィニッシュ(finish):飲み込んだ後に残る余韻
このうち、ミッドパレットは「ワインの展開部分」とも言えます。
アタックで感じた要素がどう広がっていくのか、単調に途切れるのか、それとも厚みや複雑さを伴って持続するのか。ワインの完成度を判断するうえで非常に重要な段階です。
特に、酸味・甘味・タンニン・アルコール・果実味がどのように調和しているかを確認します。
ミッドパレットで注目すべき要素
ミッドパレットを評価する際には、以下の要素に注目すると理解が深まります。
- 厚み(weight, body)
中盤で味わいがしっかり持続しているか。薄く消えてしまうのか、充実感があるのかをチェックします。 - バランス
酸・甘味・タンニン・アルコールなどの要素が調和しているかどうか。どれかが突出しすぎると「ミッドパレットのバランスがよくない」と評価されます。 - 複雑性
単調に終わらず、多層的に味が展開していくか。赤ワインなら果実味の中にスパイスやハーブが加わるなど、変化が感じられると「複雑性がある」と評価されます。 - 構造(structure)
酸やタンニンといった骨格要素がしっかり支えているかどうか。単に味が広がるだけではなく、ワイン全体を支える“軸”を意識します。
ミッドパレットで使われる表現例
実際のテイスティングでは、ミッドパレットをどのように表現するのでしょうか。よく使われるフレーズを紹介します。
- 「ミッドパレットに厚みがある」=中盤でも味がしっかりと存在感を持っている
- 「ミッドパレットが弱い」=アタックは良いが中盤で途切れてしまう
- 「ミッドパレットにフルーツの甘味と酸味が調和している」=味わいの中心に調和がある
英語表現では次のような言い方が一般的です。
- mid-palate shows concentration(中盤に凝縮感がある)
- mid-palate falls away(中盤で味が弱まる)
ミッドパレットを理解するメリット
ミッドパレットを意識することで、ワインの理解は一段と深まります。
- ワインの完成度を正確に捉えられる
中盤が充実しているワインは、品質が高いと評価されやすい。 - プロのテイスティングコメントが理解しやすくなる
雑誌や試験の解説にある「ミッドパレットが弱い」という言葉の意味が具体的にわかるようになります。 - 自分の言葉で表現できる力がつく
試験や販売・接客の場面で、ただ「美味しい」ではなく「ミッドパレットにバランスがある」と表現できるのは大きな強みになります。
関連用語との違い
ミッドパレットをより正しく理解するために、関連する用語との違いを押さえておきましょう。
- アタック(attack):口に含んだ瞬間の第一印象。酸味の鋭さやフルーツの香りなど。
- フィニッシュ(finish):飲み込んだ後に残る余韻。長さや質感が評価対象となる。
アタック → ミッドパレット → フィニッシュの流れを意識すると、ワインの味わいがストーリーのように感じられるようになります。
まとめ

- ミッドパレットとは、ワインの味わいの中盤を意味するテイスティング用語
- 厚み・バランス・複雑性・構造を確認するのがポイント
- 表現力を磨くことで、プロのコメントが理解しやすくなり、自分のテイスティングにも説得力が生まれる
ワインの世界では「アタック」や「フィニッシュ」といった言葉と並んで、ミッドパレットは欠かせない用語です。
初心者でも意識することで、テイスティング力がぐっと向上します。ぜひ次回の試飲で「ミッドパレット」を探してみてください。
