“産地で学ぶ”ワイン理論シリーズ|Vol.4 ボルドーの畑管理

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【植樹密度と栽培スタイル】

  • 高品質な畑では、**1ヘクタールあたり1万本(1m間隔で植樹)**という伝統的な高密度栽培が行われる。
  • 土壌が比較的やせているため、この密度でも樹勢は適度に保たれる
  • 高密度はコスト増(支柱・トラクター・作業時間など)だが、土地の有効活用という利点がある。
  • 一方、ボルドーAOCなどの格下アペラシオンでは、3,000〜4,000本/haと低密度な場合も多い。

【剪定と仕立て】

  • 主流の仕立てはヘッドトレーニング+リプレイスメント・ケーン・プルーンド。
    ※replacement cane-pruned 毎年主役の枝を更新していく剪定方法
  • 左岸ではダブル・ギュイヨ(2本の枝)、**右岸ではシングル・ギュイヨ(1本の枝)**が多い。
  • **コードン仕立て+短梢剪定(スパー)**はまれだが、収量制限や房の通気性向上を理由に一部のシャトーで採用されている。

【キャノピーマネジメント】

  • ボルドーは湿潤な気候のため、ベト病・うどんこ病・ボトリティス対策としてキャノピーマネジメントが重要。
  • 夏の間に葉を除去し、風通しと紫外線照射を促進。→ 病気予防と成熟促進。
  • ただし、2003年のような猛暑年には**日焼けによる干しブドウ化(レザン)**も発生。
    葉の除去は、暑さが和らいだ後期に行うのが無難。

【剪定技術の変化】

  • ユタイパやエスカなど、木部を侵す病気への対応策として**「ソフト・プルーニング」**が広がっている。
    • 切り口を小さく・乾燥させやすく・樹液の流れを妨げない剪定が基本。
  • **フラヴェッサンス・ドレ(黄変病)**は殺虫剤で抑えられるが、有機栽培派からの懸念もある。
  • 2021年には、**有機栽培または転換中の畑が18%**にまで増加。

【房の間引きと収量管理】

  • 約20年前から**摘房(房の除去)**が導入され、収量制限と凝縮感の向上が目的だった。
  • 近年は、冬の剪定で収量を調整し、自然なバランスを重視する傾向に。
  • かつては過度な低収量=濃縮されたワインが流行したが、果実が重くジャミーになり、“テロワール”の表現が失われるとして現在は減少。

【収穫の変化】

  • 昔は“予想”に基づいて一定期間で一斉収穫 → 未熟/過熟な果実が混在。
  • 現在は、雨などに備えて長期間チームを確保し、最適な時期を見極めながら収穫
  • 大規模シャトーでは100人以上を雇い、宿泊も提供。人件費と手間がかかる
  • メドック北部などは人手不足もあり、機械収穫が主流
  • 安価な大量生産用ワインは基本的に機械収穫
  • 機械の利点:天候や病気に応じて迅速に対応できる
    手摘みの利点:選果の精度が高く、トップシャトーでは依然として主流
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